「また、やっちゃったかもな…」
プレゼン帰りのタクシーの中、高木はひとり反省会をしていた。
先方の反応はいまひとつ。流れも、言葉選びも、どこか噛み合っていなかった。
隣の席では、後輩の伊藤が静かにスマホをいじっている。
さっきまでの賑やかさが嘘のように、車内は妙に静かだった。
「…すみません。あの資料、直前にいじったの、やっぱ余計でしたよね」
伊藤がぽつりとつぶやいた。
高木は、しばらく窓の外を見たまま、黙っていた。
「もっと良くできると思ったんだろ？ それなら、それでいいじゃないか。」
苦笑まじりの言葉に、伊藤が少しだけ肩をすくめる。
「でも…なんか今日、全部スベってた気がして…」
「俺もだよ」
高木の声は、思ったよりも静かだった。
最近ずっと、こうだ。
資料の詰めも、チームのフォローも、
“自分がやらなきゃ”で、気づけば体も気持ちも張りつめている。
ホテルに着いてチェックインを済ませ、部屋へ。
シャワーを浴び、荷物を整理していると、ふと目に留まった一枚のカード。
チェックイン時にもらった名刺サイズの紙だ。
──「おかえりなさいませ」
やさしい書体で書かれたその一言が、不思議と心に沁みた。
裏面には「オフィス体育の時間」のロゴとともに、
「たった3分、心と体をほぐす体操」の文字とQRコード。
QRコードを読み取ってみると、静かな音楽とともに、ゆったりとした体操動画が再生された。
「ちょっとやってみるか」
動画に合わせて、深呼吸しながら肩を回す。
手のひらを胸に当て、背中をやさしく伸ばしていく。
たった3分。
でも、その3分だけは、頭の中のざわざわが消えていた。
今日の疲れも、ここ数ヶ月の張り詰めた気持ちも、
静かに、ふっと軽くなっていく。
「……これ、意外と効くな」
思わず口にした自分の声に、少し笑ってしまった。
翌朝、ロビーで伊藤が声をかけてきた。
「高木さん、今日…なんかスッキリしてません？」
「かもな」
そう返して、小さく笑った。
スーツの内ポケットには、昨夜の“元気のキッカケ”。
ただの健康カード…でも、夕べはちょっとだけ気持ちをゆるめてくれた。
そんなささやかな“きっかけ”が、今日の自分を、ほんの少し前向きにしてくれた気がした。
📌 『元気のキッカケ』とは？
「渡す人も、もらう人も、“元気になるきっかけ”を」
をコンセプトにした、健康をサポートする名刺サイズのカード型コミュニケーションツールです。
🃏 カード見本（例）
本ストーリーで登場したカード（おかえりなさいませ）は、未発売のオリジナルデザインです。
今後の反響をもとに、商品化も検討しています。
●表は、ちょっとした気遣いや思いを表すメッセージ
●裏は、柔道整復師やスポーツインストラクターによる短時間の体操動画へアクセス可能なQRコード
職場の“毎日の健康習慣”や“取引先との会話のきっかけ”として活用されています。
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